公務員 最終面接のはなし
公務員試験の最終面接、それは某8月の話。
一次試験も、二次試験も順調にパス。残るは最終面接ときた。
正直、面接は自信があったので、それほど緊張はしてなかった。
が、もしかしたら圧迫面接もあり得るなと若干の不安を感じつつ、最終面接の部屋の扉を開けた。
面接官はふたり。メガネのおじさんと、アフロ。
アフロだ。
俺の頭の中は一瞬にしてアフロで埋め尽くされた。いや、アフロで圧迫されていた。
すでに圧迫面接は始まっていたのだ。
質問はメガネのおじさんからのみで、アフロはメモ係。雰囲気は和やかで非常に順調に進んでいく。
勝利を確信しつつ、面接が最終ラウンドを迎えたとき、メガネが他に聞きたいことあるかと、アフロに話を振ったのだ。
そして…アフロが口を開く。
アフロ「大学の時のあだ名はなんですか?」
俺「へぁっ…ほ…はへぇぇ……」
俺はまるで王に殺される手前のウェルフィンのように固まる…
(このままだと質問に答えられず落ちて)死ぬ!
(公務員になって幸せに)生きたい
永遠とも思える時間のなか、必死の笑顔で答える。
俺「にしやん…?」
中学の時のあだ名をコムギばりに絞り出したのだ…
メガネが必死フォローにしてくれ最悪な空気はすぐに戻った。アフロは満足そうに質問は以上ですと切り上げる。
なにが以上だ。
お前のあだ名は誰でもわかるんだよ。
そして時が経つ。
無事合格し、入庁してから血眼でアフロを探した。
が、なぜか見つからない。
人事課に足を運び確認するもいない。
昨年まで人事課にいたという先輩に聞くもそんな奴は知らないという。
寒気が止まらなかった。
サウナでキメる方法
サウナの本当の入り方を紹介させて欲しい。これは俺が社会人一年目の話だ。
まだ暑さが残る某年9月初旬。
平日は毎日終電帰り、休日はひたすら寝るという生活を送る中、休日の唯一の趣味はサウナ巡りだった。
サウナには基本おっさんしかおらず、俺のような若い奴は滅多に見ない。
サウナはただただ暑い…
なぜ裸のおっさん達とクソ暑い部屋ぶち込まれなければいけないのか…
次の趣味を考えようとしていた時、1つの疑問が頭に浮かぶ。
なぜおっさん達はサウナが好きなのか…?
おっさん達はデリヘルやソープ、キワキワマッサージといった風俗遊びをやり尽くしているはず。
そんなおっさん達がなぜサウナに集まるのか…何かがおかしい…サウナには風俗以上の快楽があるというのか…
その日の俺の洞察力はコナ●並みに研ぎ澄まされていた。
そして気付く。
おっさん達がサウナの後、決まって水風呂に入っていることを。
俺も試しにサウナの後すぐ水風呂に入った。
すると、途端に心臓はバクバクと音をたて、肺は急激に縮み呼吸が苦しくなった。
こんなことやっていたら死んでしまうと早々に上がったその時…体に異変が起こったのだ。
体の芯は熱いが、表面の皮膚だけは水風呂の冷たさが残りジンジンする感覚。
慌てて椅子に腰掛け、深呼吸する…体が宇宙まで広がり意識が遠のいていく感覚……深い瞑想しているような不思議な状態だった。
そうガンギマリしていたのだ。
この時、俺の体はサウナ→水風呂→休憩によって毛細血管が強制的に膨張・収縮を繰り返し、脳に大量の酸素が届けられていた。
そして、脳内でβーエンドルフィンという快楽物質がバンバン出ていたのだ。
βーエンドルフィンはランナーズハイを引き起こす物質でありモルヒネのような鎮痛作用や不安軽減作用があると医学的にも証明されている。
……ちくしょう
サウナの真髄を何もわかっちゃいなかった…
俺は今までの行いを恥じ、狂ったようにサウナ→水風呂→休憩のガンギマリルーティーンを何度も繰り返したのだった。
そう、風俗通いのおっさんがサウナに行き着くのには理由があるのだ。